夏の思い出 トウモロコシ

この夏は、コロナウイルスの影響で帰省も自粛となり、寂しい思いをされている方も多いのはないでしょうか。

スーパーの野菜売り場にトウモロコシが並ぶと夏が来たことを知り、買い求めます。

   トウモロコシは皮をむきラップをして、電子レンジで6分半、塩を振ってかぶりつき、子供の頃の夏休みを思い出しながら食べます。 

 

  母の実家は山梨県の南アルプスの山間です。冬は厳しい寒さですが、夏は避暑地に打ってつけの涼しい場所です。子どもの頃の夏休みには、2週間から長い時には1カ月以上滞在しました。

 

 行きは両親と兄との4人です。その後、父は仕事、母も地域の役員をしていて大阪へ戻り、しばらく兄と2人だけが残ります。

祖父に連れられて、巨大なミミズを餌に魚釣りをしたり、洞窟の中に入ったり、カブトムシを取りに行ったり、薪をとりに山に入ったり、井戸水を汲みに行ったり、屋根裏部屋へ上がったりと毎日が探検のような日々でした。私は、ミミズもカブトムシも触れることができず、見ているだけでしたが、ひたすら祖父と兄の後をついて、高山植物を見つけては遊んでいました。

 

 お腹がすくと、トウモロコシを祖父と祖母が七輪で、おやつに焼いてくれます。醤油を垂らしてこんがりと絶品でした。時には、祖父が木に登ったかと思うと、トンカチを持ってきて割って、「ほれ、としこ、食べろ」と手に渡してくれます。クルミです。美味しかった。そんな訳で、トウモロコシとクルミは私の大好物となりました。

夜は、薪で五右衛門風呂を焚きます。底に板を踏み沈めて入るのですが、怖くて少し苦手でした。

 

 代わる代わる母の弟や妹がやって来て、横浜や東京、富士五湖などに連れってくれます。今振り返ると、何とも贅沢な夏休みだったと思います。

宿題はどうしていたのか全く記憶にはありません。呑気な時代だったのかもしれません。

 

 トウモロコシ畑にトンボが飛ぶと、もう夏はおわりなのだなあと分かります。もう今は山間の祖父母の家はないけれど、私の胸に思い出とともにずっと残っています。

 

 コロナウイルスが早く終息し、皆が自由に帰省できる日が来ますように。