退職代行サービス

 「退職代行サービス」の会社をご存知ですか。連日、テレビや雑誌などメディアにも取り上げられ話題となっていますので、ご紹介したいと思います。

 

 「退職代行サービス」とは、どういうことなのか。その背景には、人手不足であるがゆえに増えている「自己都合退職トラブル」があります。

 退職の意思を会社に伝えようとする従業員に対し、会社が退職を認めないという「自己都合退職トラブル」が増加しています。「上司が面談に応じない」「退職届を受理しない」「離職票さえ渡さない」「有給休暇を取得させない」「新しい人がくるまで、先延ばしして退職させない」「辞めた場合は損害賠償請求すると脅迫する」などがその代表例です。先日は、アイドルが事務所から辞めさせてもらえないのを苦に、自殺するという悲劇が新聞に報道されていました。

 昨年度、都道府県労働局および労働基準監督署に寄せられた民事上の個別労働紛争相談のうち、「自己都合退職」は、「解雇」を上回っています。
 かつての不況下においては解雇トラブルがよくみられましたが、解雇トラブルの相談件数と逆転し、人手不足のいまは自己都合退職トラブルが多い時代です。この傾向はしばらく続くと言われています。

◆民法上は2週間で退職できる
労働者は法律上、期間の定めのない雇用の場合、いつでも雇用の解約の申入れをすることができます。また、会社の承認がなくても、原則として解約の申入れの日から2週間を経過したとき、雇用契約は終了します(民法627条1項)。
就業規則の「退職」の項目においては、業務の引継ぎ等の必要性から、「退職希望日の少なくとも1カ月前に退職届を提出」等と規定することも多いですが、この規定のみを理由に退職を認めないということはできません。

◆従業員の退職でもめないために
一度退職を決意しその意思を表明している従業員に対し、慰留・引き留めを行ったところでさほど効果はないものですし、度を過ぎれば前述のような法的案件にもなりかねません。感情的な対応はせず、本人の意思を尊重し、引継ぎや退職手続をさせましょう。
さきほどの「退職代行ビジネス」といわれる、民間企業が本人に代わって退職手続を行うサービスを利用して、会社との自己都合退職トラブルを防ぐ退職者も増えています。この場合、本人と面と向かうことなく、引き継ぎも会話もないまま退職が完了してしまいます。

「退職代行サービス」は、あくまで代行に過ぎません。「辞める」ということ伝えて、退職の手続きを代行するというものです。本人に代わって行う交渉などの代理人業務は、法律上弁護士に限られており、禁じられています。交渉に応じる必要は一切ありません。

会社側は、人手不足の中、採用や退職トラブル、またハラスメントなど人事に関し、より慎重な対応を求められている時代です。
従業員が自己都合退職に至る動機はさまざまですが、人手不足の今、そもそも「辞めたい」と思わせない会社づくりが大切なのかもしれません。

秋も深まりました。食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋ですね。皆さんはどの秋を堪能されていますか。朝晩、冷えますのでお体に気をつけてお過ごしください。