シリーズ・ハラスメント 「第ニ弾」
~パワハラのボーダーライン①~
ハラスメントの中でも、事業所の皆様を悩ませるのは、パワハラではないでしょうか。
パワハラは「業務上の指導との線引きが困難」であるために対応の難しさを実感されていると思います。また企業がパワハラ問題を取り上げる際には「管理者が弱腰になる」、「上司と部下との深いコミュニケーションがとれなくなる」といったことが懸念材料となっています。そのためパワハラの法律も制定されていないのが現状です。
しかし定義はなされています。
職務上の地位や人間関係などの職場上の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為
というものです。職場上の優位性には、役職だけでなく、キャリアや技能、知識差、雇用形態の違い、また取引先の力関係なども含まれます。
問題です。以下①~⑦のうち、パワハラに該当するのはどれでしょうか?
①取引先の事務所に上司と部下が出向いた
際、顧客の前で部下の失敗を責め続ける。
②上司の指示、意向により、チームメンバーが
特定の人を無視する。
③指導の際に、「お前は係長だろ。係長らしい仕
事をしろよ。」、「お前は覚えが悪いな」と言う。
④大声で怒鳴る、ごみ箱をける、机をたたく。
⑤長時間部下を机の前に立たせたまま、ミスを
執拗に責める。
⑥たびたび遅刻してくる社員に対し、部署の皆
の前で叱責する。
⑦成績の悪かった社員に対し、相応の悪い評価
をつけて成績向上をうながす。
答えは①~⑤です。⑥と⑦は該当しません。
パワハラの判断基準としては、指導の必要性があるのかどうか、必要があった場合の言動の内容や時間的経過、回数、容態が問題となります。たった一回、厳しく指導しただけではパワハラには該当しません。業務上必要な指示、命令、適正な範囲の注意・叱責・教育指導などは正当なものです。業務上の指導は委縮することなく適正に行い、その際以下のようなグレーゾーンに注意して下さい。
□指導・指示と業務との関連性や必要性:業務上必要かどうか
□言動の内容: 人格を否定していないか、
繰り返し行っていないのか(回数、時間)
□態様:威圧的・陰湿ではないか(大声で怒鳴
る。蔭で誹謗中傷など)
□発言の場 : 発言の場に配慮があったか(多くの人がいる場での発言など)
□職場環境 : 普段からものを言いにくい職場環境か (□にチェックを入れましょう)
自身がパワハラを行なわないよう留意するだけではなく、部下がハラスメントをおこしたり、受けたりしていないか注意を払う必要があります。