先月、秋なのに台風のせいで、近所の公園では木々が倒れていて、驚きました。その台風の中、私は、ハラスメント防止認定試験を受験しました。難しかったです。必死で勉強した中で、皆様が知っておいた方が良いと思われることをシリーズでお伝えしていきます。では、第一弾・・・
~ハラスメントってなんだ?①~
元来「苦しめること」や「悩ませること」を意味する英語ですが、日本では「いじめ」「嫌がらせ」をハラスメントと呼んでいます。状況によって、セクハラ、パワハラ、マタハラ、アカハラなど様々ですが、どの場合も受けた人が傷つき、苦痛に感じる言動を言います。
現在、様々な状況でハラスメントと言われる言動が問題となり、訴訟に発展するケースも増えています。職場においては、ハラスメントが原因で従業員が精神の不安定に陥り、その能力を十分に発揮できないばかりか、離職や自殺に追い込まれるなど、組織戦略上、見過ごすことができない事態となっています。(21世紀事業団ハラスメントテキストより一部抜粋)
では、ここで問題です。(架空の事例です。)
問1
入社して1年経過しているのに、ミスが多く、仕事が遅いK君。S部長は、適切な指導を超えた言動(暴言等)を長期間にわたって続けた結果、B君はうつ病と診断され休職し、その後退職した。そして、パワハラで訴えた。
問2
R子は妊娠したため、軽度な作業に転換してほしいと申し出た。リーダー女史Bは、「あなたみたいな人がいるから、女子はだめだと言われるのよ。そんなやる気がないなら、辞めてちょうだい。」と言って、転換を認めず、育児休業も取り合わなかった。R子は体調を崩し、退職した。R子は、マタハラだと訴えた。
問3
Y課長は、T子に「今度、デートしよう。」「今日、仕事終わったら待ってるから。」と再三誘うが、断られた。それに腹を立てたY課長は、T子の事実と異なる異性関係の噂を流布した。T子は、職場に居づらくなり精神的に追い込まれ、退職した。T子は、セクハラだと訴えた。
さて、仮にこのように訴えてきた場合、誰が加害者になると思われますか。損害賠償は誰に請求されますか。上司が加害者となるのは当然ですが、これは会社にも責任がありますか?
問1や問2は会社も加害者になるかもしれないけれど、問3はY課長の私的な感情で、会社は全く知らなかったのであるから、関係ないのではと思われる方も多いのではないのでしょうか。
結論を申し上げますと、問1・2・3すべて会社が損害賠償を請求されます。(民法415条債務不履行・民法715条使用者責任等・不法行為)職場配慮務違反・安全環境義務違反です。
労働契約法第5条(安全配慮義務)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするもととする。
雇用した以上、会社は労働者を守る責任が伴い、また、上司や同僚を教育する責任があります。裁判の場合、個人の支払能力を考慮すると、会社の方が多額の賠償金を請求しやすいといった事情もあるようです。会社の雇用管理も大変な時代になってきました。では、どのような事案が該当になるか、ボーダーラインは次回に。