先日、社会保険労務士連合会からの「医療労務コンサルタント」の研修を受講しました。
研修内容は、厚生労働省の施策について官僚の方の話に始まり、日本医師会の医師の方、看護協会理事の看護婦の方から医療業界を取り巻く具体的な現状を説明されました。その上で問題点を探り、今後どのように改善していけば良いのかを検討議論しました。
現在の日本の病院の最大の問題は、大病院やクリニックではなく、中核病院といわれる中規模(入院や救急に対応している病院)の医療従事者の労働環境です。人手不足による過重労働や長時間労働、患者からのクレーム処理等に非常に疲弊している状況を医師や看護婦理事が話され驚きました。自分たちは医療従事者だという使命と誇りに支えられ、経営が成り立っており、労働基準法の遵守は程遠いのが現状です。
常に人手不足の状態で、患者の対応に追われ終業時間通りに終了することは不可能です。しかし残業手当を請求すると、病院の経営が成り立たないので、医療従事者のサービス残業が蔓延しているそうです。
特に地方の医師は、長時間労働に加え、宿直やオンコールでの呼び出しに、疲弊しているといわれます。医師の12人に1人がうつ状態といわれ、自殺者も増えているという聞きました。
厚生労働省も動き出しており、医療現場の労働環境を見直して働きやすい職場に改善していくよう、現場に社会保険労務士が介入して協力いく方向に向かっています。
女性医師も増えており、現在医学部も場所によっては女子が半数を占める時代になっています。それゆえ育児休業がスムーズに取得できる体制作りも必要です。現在も、妊娠したことで、女性医師が現場の理解が得られず、退職せざるを得ない事例が数多くあります。そのため人手不足に拍車がかかっています。
研修の後半ではグループワークや発表が行われ、相談事例を考える上で、法律上や潜在的な問題点を見抜き、改善の仕方を考え提案し、またそれをどのように説明し、組み立てていくのかを考えました。事例そのものが複雑な上、自分の意見を人に伝えるという難しさも味わいました。
この知識や経験を日々の仕事に活かしていければと思います。まだ学ぶべきことは山積みですが、一歩一歩皆様と進んでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
今年も残すところ、1か月となりました。体調に気をつけられ、本年が無事に終わりますよう願っております。
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