~働くということ~
来年から、新規雇用の場合65歳以上の人も雇用保険も加入を義務ずけられ、また66歳以上に定年延長をした企業には、助成金を給付することで、高齢者の就労を政府が後押ししています。「高齢社会白書」の調査では、「65歳を超えても働きたい」という高齢者が7割近くになっているというから驚きです。
年金が少なく収入を補いたいというのも当然かもしれませんが、働くということに積極的な意味を見出している人が増えていることが伺えます。
日本人は勤勉であり、働くことを大切にしていると感じます。日本人と欧米人の労働観の違いを調べてみました。
古代ギリシャの哲人たちは労働は卑しいものとみなし、奴隷のみが労働に従事すべきと考えていました。貴族や市民は戦闘を除けばもっぱら政治や芸術などの精神活動に明け暮れていました。アリストテレスもこれを容認しており、労働から解放された市民が思考の自由を持つことができたのです。
キリスト教では、食べ物は木の実などが豊富でそれを食べていれば良かったアダムとイブの時代には、労働というものは存在しませんでした。しかし、イブがヘビにだまされて禁断の果実を食べてしまい、その罰として神が労働しなければ食べていけないように食べ物を減らした、とされています。そのため、「労働は罰」という考え方もあります。ギリシャ神話にも、労働=神の罰とする労働起源説があります。
要するに、西洋では、働くことのない理想郷をユートピア、ないしアルカディアと称して称賛していたようです。
それに対して日本では稲穂には神が宿っており、神と共に稲穂を育てられること自体、ありがたいと考え方があります。日本書紀に「天照大神が天上でつくっている稲穂を授けて地上に下ろさせた」とあり、地上で営んでいる農業は、天の世界の天照大神の稲をいただいたことによるのです。人間が働くことは神の罰ではなく、むしろ神から祝福されているという労働観です。労働は感謝して行うものであるから、自ら喜んで働くことは美徳とされました。
その考え方によると、欧米は早くリタイアして自由に暮らすという生き方、他方日本は、働けるうちは社会に貢献したいという生き方に違いがあるような気がします。
皆さまは、いかがでしょうか。
私は必要とされ少しでも貢献できるのであれば、年齢関係なしに元気であれば働きたいと考えています。私はこの仕事が大好きです。大変なこともありますが、皆さまとの関わりが楽しく、喜んでいただいたり、成長させていただくことが生きがいになっています。
皆さんにとって働くというのは、どのようなものでしょうか。
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