ストレスの負けない脳をつくる

 ~ストレスに負けない脳をつくる~

   セロトニンについてご紹介させていただきます。

 

 心を癒し、平常心を維持してくれる脳内物質は「セロトニン」です。セロトニンが不足した状態が長く続くと、こころの安定が失われ、うつ状態に陥ってしまいます。セロトニン神経が活性化されると、次の5つの脳機能に影響を与えることが明らかになっています。

 

①大脳を覚醒状態させる。  

➁心を平常に保ち、緊張・不安やうつ傾向などネガティブな気分を改善させる。

③自律神経の切り替えをスムーズにする。

④抗重力筋群に働き、姿勢をよくし、顔の筋肉を引き締める。

⑤原因不明の痛みが消え、痛みを調節する。

 

 セロトニン神経を活性化させるのは、次の3つです。生活習慣として毎日セロトニン神経を活性化するコツを紹介します。   

(1) 「歩行」:セロトニン分泌は夜にはほとんどないので、朝の起床時にセロトニン活性を積極的に行って心身をしっかりと覚醒させる必要があります。一番のお勧めは、朝陽を浴びてウオーキングです。

 

  注意点は時間です。セロトニンの分泌は開始から約5分後に始まり、10から15分でピークに達し、 30  分を迎える頃から分泌が下降してしまいます。疲れるまでやっては逆効果になります。ですから 少し早起きをして近くの公園や水辺を歩くのが理想的です。雨の日は室内でスクワットを515分行ないましょう。それで十分です。

  

(2) 「呼吸」:丹田呼吸法です。

  吐く時に、「あ~」「ひとーつ」などと声を出しながら吐けるところまで吐ききります。吸うときはできるだけゆっくりと吸うことだけを考えてください。これだけで、5分以上続けると、セロトニンが活性化し、すっきりとします。日中で緊張を強いられる状況下でも有効です。

 

 (3) 「租しゃくのリズム運動」

  大リーガーやサッカーの選手が試合中によくガムをかんでいます。あれは、咀しゃくのリズム運動によってセロトニン神経を活性化し、緊張や不安がなくなり、高いパフォーマンスに必要な力が出るためと考えられています。出勤の電車の中でかむといいでしょう。しっかり5分以上かむとセロトニン活性が期待できます。

  

 以上は、毎日続けることが重要です。集中して5~15分程度、疲れを感じない程度に行なうものですから、毎日続けるのが苦にはならないはずです。朝の新しい習慣として始められてはいかがでしょうか。

 

  (セロトニン神経を活性化する生活習慣 

  東邦大学名誉教授 有田秀穂より)